「腸活」という言葉が使われ始めてすでに久しい感じですが、腸内環境を整えるメリットは計り知れません。その効果は、ダイエットや美肌になるといったものだけでなく、腸内の善玉菌が優位になれば”幸せホルモン”が分泌されて、精神状態が安定し、自然と幸せを感じられるようになるのです。
人が、安心感や幸福感を感じたり、リラックス状態にあるとき、体内でセロトニンという神経伝達物質が分泌されています。セロトニンは別名「幸せホルモン」とも呼ばれていて、握手をしたりハグをすることでも分泌されます。大好きな人と手を繋いでいると幸せを感じるのは、このセロトニンの影響によるものだそうです。
セロトニンは約90%が、「第二の脳」とも呼ばれている腸内で生成されています(残りの約8%が血液、約2%が脳内に存在)。食事から摂取した必須アミノ酸を、腸内で「セロトニンのもと」になる物質に変化させ、それが血液を通って脳に届くとセロトニンとなります。腸内環境が良いと、十分な「セロトニンのもと」が脳に送られるため、セロトニンが増えて精神状態が安定しますが、腸内環境が良くないとセロトニンが生成されにくく足りなくなり、イライラやストレスの原因となるのです。
ものすごく腹が立ったときに使う「腸(ハラワタ)が煮えくり返る」という表現がありますが、腸と精神が密接な関係にあることが、昔の人は感覚的に知っていたのかもしれませんね。
さて肝心の、”幸せホルモン”セロトニン分泌を増やす、腸内環境を整える方法です。
◆朝日を浴びる
明日からすぐに実践できる方法が、起きてすぐ朝日を浴びることです(晴れていたら)。太陽光が網膜に入ると、それがスイッチとなってセロトニンの分泌が始まります。朝日を浴びると清々しく気持ちが良くなるのは、「単なる気のせい」ではないということですね。
◆リズミカルな運動をする
規則正しいリズムを繰り返す運動がセロトニン分泌を高めるそうです。といってもダンスなど激しいものでなくても、ウォーキングなどで十分。天候に関係なく自宅でできる「踏み台昇降」もおすすめです。専用の台も売られてますよね。
また、「ガムをかむ」こともセロトニンを増やす効果があるそうです。そういえば、メジャーリーグの野球選手がガムを噛んで口をモムモグさせてるのを見かけたりします。咀嚼という行為は心臓の鼓動とリンクする(リズム運動)ので、ゆっくり噛むことで心拍数を安定させ、物事を冷静に判断できるようになるから、というのが彼らが試合中にガムを噛んでいる理由のひとつだそうです。
◆セロトニンを作る
セロトニンは、アミノ酸の一種であるトリプトファン、ビタミンB6、炭水化物によって体内で生成されます。トリプトファンは体内では生成できない必須アミノ酸の一つなので食事からとる必要があります。
✔ トリプトファンが多く含まれている食材:大豆製品、乳製品、穀類、バナナ、他
✔ ビタミンB6が多く含まれている食材:レバーやマグロ、ニンニク、他
特にバナナは、トリプトファン・ビタミンB6・炭水化物の3つをすべて含んだ食品なので、朝食替わりにでも取り入れるのがおすすめです。
◆腸に良い食物をとる
腸内環境を整える重要ポイントは、腸内の善玉菌の割合を多く保つこと。そのために、乳酸菌・ビフィズス菌を含む発酵食品や、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を取るのがおすすめです。
✔ 発酵食品:ヨーグルト、チーズ、キムチ、ぬか漬け、納豆、お味噌、他
✔ オリゴ糖が含まれる食品:バナナ、大豆、ゴボウ、他
食物繊維には不溶性と水溶性の二種類がありますが、不溶性食物繊維は便のカサを増す役割、水溶性食物繊維はコレステロールなどを吸着して体外に排出する役割があります。どちらもバランス良くとることが大切です。
✔ 不溶性食物繊維:穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、他
✔ 水溶性食物繊維:海藻類、果物、里いも、大麦、オーツ麦、他
などに、それぞれ多く含まれています。
これらの栄養素を食事から摂るのはなかなか難しいという人は、サプリメントを利用してもいいかもしれませんね。私もたまに「食事がちょっと偏ってるかな」と思ったときに、ビフィズス菌のサプリメントを摂ることがあります。栄養はあくまでも普段の食事からの摂取が大切ですが、サプリメントを上手く利用するとカロリーや糖質をあまり気にせずに、欲しい栄養素を取ることも可能です。その場合には、ちゃんとした製薬会社や食品会社から販売されている製品を選ぶようにすると安心です。
◆おわりに
腸内環境を良好に保つことで、便秘の予防やダイエット・美肌効果だけでなく、セロトニン(=幸せホルモン)が最適に分泌されるようになって心身ともに健やかでいられるのです。一石二鳥どころか、恩恵は無数にありそうですね。
今日も最後までお読みくださってありがとうございました。