週末職人

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「謙遜も媚びの一種」なり。

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「謙遜も媚びの一種」という言葉。誰かが言ってたのか、何かで読んだのか覚えてないのですが、初めて見聞きした時、なかなかの衝撃を受けたのを覚えています。というのもその当時、喋ればやたらと謙遜ばかりする人が身近にいて、会話をするたびに疲れのようなものを感じていたから。謙遜は、自分を卑下して表現することで、相手に優越感や安心感を与えようとする『日本人独特の思いやり』らしいですが、行き過ぎるとやっぱり、ヘン。

          謙遜は媚びの一種

例えばオフィスで。「突然のことだったけど、頑張って何とか上手く対処できた」などと話す同僚に、私が「臨機応変に対応して、さすがですね」と応じると、相手は「いやいや、そんなこと~。誰でもできますよォ」などと返してきます。そこで私がまた「でも、なかなか誰でもできることじゃないですよー」と言葉を重ね、更に相手も「大したことじゃないですぅ」blah-blah…といった感じで、延々謙遜と称賛が続くといったパターン。第三の誰かがその場に通りかかりでもしない限り、なかなか会話は終わらなかったり。

別の例では。とある賞をもらった人が、周囲からのお祝いに素直にお礼だけ言わず、「いや~。ボクなんかが貰っていいのかなぁ。ボクなんか全然大したことないのにぃ。なんか申し訳ないなー」としつこく”ボクなんか、ボクなんか”と謙遜し続けるので、周囲の人はさらに「ご謙遜ばっかり。頑張ってこられたからでしょー」みたいに称賛の言葉を重ねなければならないわけです。

謙遜する相手には、大抵の場合、こちらはその謙遜を否定してさらに褒め言葉を重ねます。謙遜している本人は、相手からはその謙遜を否定する言葉・誉め言葉が当然来ると期待していて、謙遜し続けるわけです。まさに、媚びです。          

          謙遜も媚びの一種

まあ、ここまで小難しいことを考えながら人と会話するというのもあまりないと思いますが、「謙遜も媚びの一種」を知ってから、私自身はできるだけ謙遜はしないようにしています。でも、相手の誉め言葉を、「ありがとう」とストレートにガッツリ受け止めるだけでいると、誉めてくれた相手から「ちょっとは謙遜したら?」などとツッコミが入るパターンも多いです。日本人のDNAには、『誉めと謙遜(媚び)』はワンセットとして組み込まれているのかもしれません。

ちなみに、謙遜することと、謙虚でいることは似ているようで大違いです。謙虚は性格を表すもの。謙遜は言葉や態度で示すもの。だから「媚び」に通じるのです。

謙遜は日本人特有のものと言われますが、おおざっぱに言えば確かにそうです。欧米のみならず隣の韓国や中国の人でも、人に褒められたことをわざわざ「否定」して、へりくだるということはまずありません。

          謙遜も媚びの一種

先日、日本に暮らして5年以上になるイギリス人の友人と話していたときのこと。彼女は英会話スクールを経営しているので、たぶん普通の在日外国人よりも、老若男女問わずたくさんの日本人と話す機会があります。そんなわけで、日本人独特の「謙遜言葉」にもすっかり慣れっこなはずなのです。去年のクリスマスに、ある生徒さんが彼女に手編みのミトン(手袋)をプレゼントしてくれたそうです。目の前でラッピングをほどきながら、

「ありがとう。自分で手袋を編めるなんてすごいね!」

と、喜んでお礼を言ったらその生徒さんが例によって、

「そんなことないですぅ。不器用なんで上手く編めへんし…。だから、ココ(と一か所を指さして)、ちょっと穴っぽくなってしまって」

と、ほとんど目立たない穴をわざわざ自分で指摘し、悲しげな表情で卑下しだしたので、「また日本人が始まった!」と注意したのだと話してくれました。

彼女は、謙遜するのは日本人のやさしさでもあるけれど、とにかく自信の欠如の現れ、だと言います。そして、謙遜して自信がないフリをしておいたら、実際に上手くいかなかったときにも、言い訳になるとも。まあ言われてみれば確かに、予防線的に「あンまり英語は喋れないから」とか、「プレゼン苦手~」「試験勉強全然してないー」など安易に言いがちですね。日本人同士なら、その裏にある本当の意図も暗黙知かもしれませんが、日本に馴染みが少ない外国人相手では、謙遜なんて一切通じません。彼らからはただの『デキない人・自信のない人』と判断されるばかりです。

          謙遜は媚びの一種

そしてもう、日本人同士であっても、行き過ぎた謙遜人間は面倒です。身近な例は、誰かに物を差し上げるシーン。「お口に合わないかもしれませんが…」「お口汚しですけれど」などと、へりくだった表現も悪くはないでしょうが、そういう言葉を言う時って、眉も八の字に下がりがちなイメージ。喜んでもらいたくて一生懸命に物を選んだのなら、「これ、美味しいので召し上がっていただきたくて」とか、「可愛いと思ったのでお土産にしました」「喜んでいただきたくて作りました」と言うほうが単純明快。分かり易くて明るい感じで、好印象じゃないでしょうか。

今からの時季、春先は、卒業・入学・入社のタイミングでもあり、お祝いの言葉を言ったり言われたり、プレゼントの贈答機会も多いと思います。素敵なお祝いや称賛の言葉をいただいたら、妙な具合に謙遜のフリルを付けず、お礼の言葉だけをストレートにドン!と、満面の笑顔で返せるとチャーミングですね。

 

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