人の好きなものを、わざわざ口にだして『否定してくれる』人に、ときどき遭遇します。
例えば、一緒に食事をしている人が食べているものを「よくそんなモノ、食べられるなぁ」と顔をしかめてみたり、アイドルの〇〇君が好きという人に「えぇ!ワタシは大キライ」「趣味ワル~」とけなしたり…。
単に、好みや趣味の違いなだけなのに、相手が好きだと喜んでいるものをいちいち否定する人って、本当に行儀が悪いです。
誰かの『好き』が、自分の好みじゃないとしても、べつに何も言う必要はないんです。
何か言うとしても、「ふーん」「そうなんだぁ」くらいで済ませておけばいいものを、わざわざ真っ向否定する行為には、さまざまなネガティブな意図が隠されているに違いありません。
例えば、
✔ 相手が嫌い
✔ 人の気持ちを考えられない
✔ 自分が優位に立ちたい etc.
相手のことが嫌いなのは、言われなくてもわかる感じ。
嫌いだから、その人の好みを全否定して、嫌な気分にさせてやろうとするのでしょう。
単純でわかりやすい心理です。
好きなものを否定されれば、誰でも気分が良くないことを十分承知していて、わざと攻撃をしかけてきているのかも。
また、人の好きなものを平気で否定してしまえるのは、相手の気持ちを全く考えていないからでもあります。
もしかしたら悪気はないのかもしれません。
でも、人の心を気遣わず、思ったことを何でもそのまま口に出してしまう振る舞い自体が、品性に欠ける無作法です。
優位に立ちたい場合もそうかもしれません。
本来は同等であるはずの友人関係などで、「そんなものが好きなの?」と相手を否定することで、自分はもっとグレードが高い・上質好みであると優越感を感じ、優位に立てた気分になるのでしょう。
私の経験ですが、ある稽古事のお仲間数名と食事に行ったときのことです。
「麩(ふ)が大好き」だと嬉しそうに食べてる松子さんに向かって、同席の竹子さんが「麩なんか、どこがおいしいの? 松子さんって、安上がりやなぁ」と、いきなり言い放ったのです。
すると、「人の食べ物の好みを、とやかく言うって下品やね」と、これまた同席していた梅子さんがトゲのある注意の仕方をしたものだから、にわかにモクモクと不穏な空気が漂いだし…、果たして食事会はサイアクな雰囲気で、散会したのでした。
竹子さんは、自分は高級品好み・美食家であると優位に立ちたい気持ちと、松子さんのことがそれほど好きじゃなかったのでしょうね。
だからそんなふうに、松子さんの食の好みを全否定したのだと、私は想像しています。
ちなみに、麩がキライらしい竹子さんは、それっきりお稽古にも来なくなりました。※松子・竹子・梅子はそれぞれ仮名です。
自分が好きなものを否定されると、不快な気持ちになるのは当然のこと、時にはまるで自分そのものを否定されたように感じて、傷つくこともあります。
どんな心理や理由があるにせよ、人の好きなものを平気でけなしたり否定するような人物とは、距離を置くのが精神衛生上も正解です。
相手が嫌な気分になることを十分承知しながら、それでも否定してくるということは、悪意を持っているとみなしても間違いではありません。
もし、「悪意はない」「親しい仲だから冗談で言っただけ」と言うのなら、それならば余計に、言って良いことと良くないことがあることを最低限わきまえるべきです。
『親しき仲にも』というよりも、『親しき仲こそ』相手の心を気遣う礼儀が必要なのではないでしょうか。
今日もお読みくださいましてありがとうございました。