「あの人、口は悪いけど根はいい人だから…」、といった言葉をときどき聞くことがあります。
「言葉は悪いけど、あんな態度だけど、本当は優しい人なの」、だとか。
個人的には、『同意もできるし、できない場合もある』というのが正直な感想です。
「口が悪い」のが、いわゆる言葉遣いが乱暴であるとか、ぶっきらぼうというのであれば、「根は良い人」という可能性はあるでしょう。
でも、相手の気持ちも考えず自分の言いたいことを野放図に言ってるだけなら、「本当は良い人」とは言い難いです。
そして、「口は悪いけど本当は良い人」という言い訳は、気心の知れた間柄にしかわからないことです。
*無作法な男@合コン*
少し前に、転勤で大阪にきて数か月の東京出身の友人が、”合コン”に行った時のこと。
初対面の男性から、会っていきなり「自分、デッカイなぁ!」と言われたそうです。
その友人は、身長が172cmあるモデル体型の美女なのですが、本人は日本人女性としては背が高めであることをコンプレックスに感じています。
それを、会ったばかりでまだ名前も知らない男性に、いきなりそんな風に言われて、ショックで言葉も出なかったとか。
確かに、こんな言い方をされたら、多かれ少なかれ女性は誰でも衝撃を受けるでしょう。
何しろ言い方が悪すぎ。
まず「自分」という呼びかけ方。
そして、「デッカイなあ」って…、話を聞いてるだけでもブチ切れそう。
たとえ関西人同士でも、これは無いわ、と思います。
そしてまだ続きもあるのです。
周囲のフォローもあり、場の雰囲気を壊してはいけないとも配慮して、ショックを受けながらも友人はその場に留まりました。
が、更に彼女に追い打ちをかけるような発言が、その男性から飛び出したのです。
話の流れで、靴のサイズの話題になったそうです。
みんなが「私は〇cm」などと話している中、彼女は黙っていたらしいのですが、そこに先ほどの男性が、「自分、何センチ?」と友人に訊いてきたそうです。
彼女は仕方なく「22cm」とそっけなく答えたらしいのですが、それに対してその彼がまた、「えっ!めっちゃ小さいやん!背ぇデッカイのに足ちっちゃ~。サザエさんみたいやな!」と、ズケズケと。
それを聞いていた周囲も笑いだして、友人は、なんでそんな言われ方をしなければならないのかと、泣きたくなったそうです。
彼女には最悪な出来事となったその合コンの翌日に、参加していた別の男性から、
「あいつ(口の悪いヤツ)に代わって謝ります。でも、口も態度もガサツだけど、本心はいいヤツだから」とフォローの電話があったそうです。
でも友人は、「あれだけ人を嫌な気持ちにさせる人間が、いいヤツなわけないわ!」と、さらに気分を害したと言ってました。
*人への思いやりの欠如*
もしかしたらズケズケ言いの男性は、本当に「根は良い人」なのかもしれません。
でも初対面でその口の悪さでは、「根は良い人」だと理解できるまでの人間関係が築けません。
その無作法な発言で、友人はひどく傷づきました。
自分の言葉によって不快な思いをしたり傷ついたりするかもしれないと、相手を全く思いやれてない時点で、「良い人」などではあり得ない。
そして、本人に悪気はないとしても、「悪気がなければ何をしても良い」わけではないのです。
ところで、『これが関西弁でなく標準語だったら?』と、ふと想像してみました。
「自分、デッカイなあ」は、「キミ、大きいね」(←標準語ってこんな感じ?)になると、文字で見た印象は多少良くなる気もします。そうでもない?
「背ぇ高いのに足ちっちゃ~」は、標準語に言い換えても大差なさそう??
でも、「自分」が「キミ」になり、「デッカイなぁ」が「大きいね」になったところで、初対面の相手に挨拶もしないうちに言うことじゃないですね。
百歩譲って、”もしかしたら初対面の緊張を和らげようと、関西人独特のノリで、わざと乱暴な調子と言葉で発言したのかも”、とも考えてみました。
でも、それを言われた相手がどう感じるかという、他人への思いやりやデリカシーのカケラもない発言であることは確かです。
方言や言い回し・口調などといった問題ではなく、本当に優しくて良い人ならば、他人に対する自分の発言に、もっと配慮するのではないでしょうか。
*毒舌は嘘をつかない、のか*
さて、どんな理由があっても、口の悪い人には良い印象は持てない感じですが、「口の悪さは正直者のしるし」だという興味深い研究結果もあるようです。
「Frankly, do we give a damn…? Study finds links between swearing and honesty」
ケンブリッジ大学のサイトに掲載されているこの記事によると、「口が悪い」とされる人は自分の感情を率直に発言しているため、嘘をついたり欺いたりする確率は低いのだそうです。
毒舌な人ほど正直で信頼できる確率が高く、”口の悪さと性格の良さは両立する”としています。
”口の悪い人は、人を気遣って言葉を選ぶことをしないのと同じように、自分の意見に関しても、他人を気にして本音とは違うことを述べたりしない”、のだとか。
これだけ読んでると「口は悪いけど根は良い人」が成立しそうですが、いずれにしても、口の悪さはやっぱり損をすることが多いです。
そして、人に不快な思いをさせたり、ましてや傷つけることのないよう、「口(発言)に気をつける」のは、大人として最低限のマナーということで間違いなさそうです。
今日も最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。