セルフイメージを簡単に説明すると、「自分が自分に抱いているイメージ」。
つまり自己認識のことです。
「私は優しい」「私は飽きっぽい」など、性格に関することや、
「私は数学が得意」「私はモテる」など、能力に関すること。また、
「私は愛される存在」「私は求められている」といった、自分の存在そのものに関する
ことなど、自分で自分をどう思っているかということがセルフイメージです。
いわゆるポジティブな内容のセルフイメージであれば、楽々と幸せな日々を過ごし、
満足した人生を送ることができるでしょう。
でもそうでない場合は、生きづらさを感じる毎日かもしれません。
アメリカの著名な形成外科医であったM.モルツ博士という人は、
数多くの患者の治療にあたる中で、
完璧な手術を行って患者本人が望んでいた通りの顔を作ってあげたにもかかわらず、
手術前と全く変わらず、内面の不幸せを抱えたままの人が少なからずいることに
気づきました。
また、自らの望む通りの外見を手に入れても相変わらず自信がなく、
自分は価値のない人間だと思い続けている患者がいる一方で、
戦場で受けた大きな傷が顔に残ったままであっても、手術で改善することを拒み、
名誉の負傷として、さらに堂々と一層アクティブに自信にあふれた人生を送る人がいる
ことにも気づいたのです。
自分の患者を診ていく中でモルツ博士は、
人が幸せに生きるためには「外側(外傷)」を治療する以上に、
「内側(心の傷)」を治療することが重要であり、
人は自分に対するセルフイメージによって外で起きる事柄が変わる、ということを
発見しました。
「サイコ・サイバネティクス理論」と名付けられたこの理論では、
セルフイメージこそが自己実現や願望達成の基本要素であり、つまり
「人生は、自分のセルフイメージ通りの結果を得る」ということなのです。
ということで、満足できる人生を送るには、いかに良い(=自分の望む通りの)
セルフイメージを持つか、ということが重要になってきます。
自分のイメージなんだから、自分の好きなように設定していけば良いようなものです。
例えば仕事で成功したいなら、テキパキと仕事に取り組んでる自分を思い浮かべ、
「私はデキる女(男)!」と想定するのが、自分が自分に対するセルフイメージです。
しかし、これでは単なる思い込み、妄想のままに終わる可能性も高いのです。
セルフイメージは自分だけで出来るものではなく、
通常、他者からの認知でそれが形成されていきます。
いま自分が持っているセルフイメージも、子供の頃からの重ねてきた経験、
周囲の人たちからの扱いや「あなたって〇〇ね」といった刷り込みなど、
他人の視点が大きく影響しています。
人間は「他者からどう思われているか」というものを、人生で再現していって
しまうのです。
いくら自分で「私は上品で、落ち着きがあって、etc.」とイメージしていても、
他者(自分以外の他人)は、あなたのことを、
「〇〇ちゃんはおっちょこちょいで、そそっかしいところがある」
という認識で、事あるごとにそのようなことを言われたとしたら、
自分が自分に抱いたセルフイメージなど容易に覆ってしまうのです。
つまり、自分で抱いたセルフイメージを、他者も同じように認識してくれない限り、
セルフイメージはなかなか変わりづらいのです。
自分と他者との認知が合致してこそ、確固としたセルフイメージが築かれる
ということです。
そこで、理想のセルフイメージが決まったら、
「そうしたイメージをあなたが持っている」と他者が認識するまで、
すでにそうなったかのように振る舞い、行動するのです。
今この瞬間から「そのように」振る舞い、行動し続けることで、
他者の中のあなたについての記憶の書き換えがなされます。
そして、周囲の人(他者)が、あなたのセルフイメージ通りにあなたを認識・評価
しはじめると、そのことによりあなた自身も「私はそうなんだ」というセルフイメージ
を持つようになり、やがてそのセルフイメージが実際の、現実の自分となるのです。