「”若返りの水”を買って塗ってみたけど、やっぱり若返らなかったワ」と、面白い愚痴を言う友人。美容院で、担当のスタイリストが彼女の髪をカットしながら、「お肌が乾燥してますね。これ塗ったら、お肌が10代の頃みたいにプルンプルンに若返るんですよ」と、小さなボトルに入った美容液を勧めてきたそうです。
そして、アレコレ分ったような分からないような説明を延々聞かされて、最終的に友人は、５ml入りで１本15,000円もするその『若返りの水』を、初めてなのにいきなり３本も買ってしまったのだそうです。
サラサラと無色透明のその『水』を、毎日朝晩、目の周囲にせっせと塗ったけれど、３本全部使いきってもシワも消えず、「ビックリするくらい何の変化もなかった」と嘆いていたのでした。
そんな大金を出したのに効果なしだなんて、なんとも気の毒な感じです。でも、そもそも化粧品とは多分にそういうものですよね。新しい商品が出るたびに、パッケージの素敵さと上手な宣伝文句にも踊らされて、「これはきっと効果があるはず」とついつい買ってしまうことの繰り返しです。
だけど、「きっとシワが消える」「きっと効く」と本気で思い込んで使えば、たとえただの水でも期待した効果が得られる可能性もあるのです。
時々耳にすることがある「プラシーボ効果」。日本では「偽薬効果」とも言われ、何の薬効もないただのデンプンなどでも、「とても効果がある薬ですよ」と信じ込ませて患者に服用させると、症状が緩和したり治ったりする現象のことです。
逆に、「ノーシーボ効果」というものあります。例えば、がんと告知されたことで気落ちし、どんどん体力も衰え、告知された生存期間すら生きられず亡くなってしまった男性がいたそうです。
死後に遺体を解剖したところ、実際にはがんなどどこにもなく、誤診であったことが判明しました。この男性は、「自分はがんで死ぬんだ」と信じ込んでしまったことで、実際には身体はどこも悪くないのに、死んでしまったのです。
他にも例えば、漆（うるし）の葉と栗の葉を使った興味深い実験があります。漆に触ると被れることがあるというのはよく知られています。そこで、被験者をＡとＢの２つにグループ分けし、Ａグループには「これは漆の葉です」と言いながら、実際には栗の葉を触らせ、Ｂには「これは栗の葉です」と言いながら、実際には漆の葉を触らせました。
その結果、Ａグループの被験者は実際には栗の葉を触っているのに発疹が出て、Ｂグループの方は何の症状も出なかったのだとか。
こういった事から分かるのは、人間の身体は、事実にではなく『認識』に反応する、ということ。認識とは、要するに「思い込み」です。漆だと言われただけで、他のものを触っていても湿疹ができるくらい、思い込みには力があるということです。
この「思い込み」の力、プラシーボ効果は、医療だけでなく仕事や勉強、美容などの日常にも応用することができます。
「あなたたちは特別に選ばれた優秀な学生です」と言われた学生たちは、その後は平均を大きく上回る高得点をとるようになった、という実験結果があります。「自分は優秀な学生なんだ」という自己認識（思い込み）が、大きく影響していることがわかる結果です。
美容やダイエットにプラシーボ効果を狙うなら、まずは「あんなふうになりたい」という目標となる憧れの人を設定し、常にイメージすることです。芸能人もよくやっている方法ですが、理想とする人の写真を見たりイメージを思い浮かべながら、食事改善や運動を行ったり、鏡に向かって「どんどん美肌になる」「プロポーション抜群になる」と自分に言い聞かせる（自己暗示）のが効果的だそうです。
人間の「思い込み」には想像を絶する力があって、それはプラスにもマイナスにも作用します。どうせならプラスの方向に働かせて望み通りの人生をおくれるよう、プラシーボ効果を上手く活用したいですね。
追伸：
先日このブログでも紹介した、Audibleのサイトから無料で聴ける「ハリー・ポッターと賢者の石」（英語版）を、私もリスニングしています。
最初から最後まで、通常速度で聴くと12時間44分もの大作ですが、16のチャプターに分かれていて、それぞれは１時間前後の長さです。なので、毎日１チャプターずつ聴いてみるというのも有りですね。
Audible Stories: Free Audiobooks for Kids | Audible.com
Audible Storiesでは、再生速度が１～３倍速まで６段階選べるのが便利です。個人的な感想ですが、倍速での英語に耳が慣れると、次に通常速度で聞き直したときに、とてもゆっくりと明瞭に英語が聞こえるようになる感じがします。
英語のリスニングのトレーニングに、倍速ヒアリングを取り入れるのは結構有効なんじゃないかと思います。
今日も最後までお読みくださいましてありがとうございました。
