何年も前に買い求めたままクローゼットの奥深くに眠っていた奈良県産の蚊帳生地を使って、「がま口」を作ってみました。
蚊帳とはご存知のとおり、夏の夜に、虫よけのために天井から床まで寝床をすっぽり覆うのに使われた涼し気な生地のこと。
昔のものだと思っていたけれど、近年はまた人気が復活してきてるようですね。
その涼し気な生地を活かして、何か作りたいとずっと考えていました。
生地としては編み目の粗い蚊帳だけで仕立てると、何枚か重ねたとしても使うほどにクッタリ柔らかになってしまうので、ある程度の張り感を保ったまま長く使えるようにと思い、滋賀県で生産された麻生地との二枚重ねにしてみました。
少し厚みのある自然なフラックスカラーの麻の上に蚊帳を重ね、内布にも同じ麻を使ったので、合計3重仕立てのがま口です。
口金は京都の専門工房のもの。
外国製のものと違って、造りがしっかりして上質です。
使った材料は偶然にも全て日本製。
それも奈良・滋賀・京都と隣り合う近畿圏生産地のものが集まりました。
出来上がった「がま口」の印象は、シンプルに涼し気。
蚊帳のカサっとした手触りが、暑い季節には快く感じるに違いなく、いかにも夏仕様な感じです。
これから冬に向かう今の時期には、季節外れな品ではありますが、来年の夏にはこれをアクセサリーにして持ち歩きたいと思います。