久しぶりに乗ったラッシュ時の電車内で、それはそれは美しい髪の女の子を見かけました。
年の頃は２０歳前後かな。
ショートボブというのか、ストレートの短めおかっぱヘアでしたが、いかにもコシの
ありそうな真っすぐな髪の毛。車内の蛍光灯を反射して一本一本がツヤツヤと輝き、混
雑したラッシュ時の人いきれの中でも、一本の乱れもないのです。そして、サラサラと
いうのかシットリと言うべきか、絹糸を束ねたようなみずみずしいツヤ。
彼女の真後ろに立ったのをいいことに、思いっきりしげしげと観察してしまいました。
とにかく筆舌に尽くしがたい美髪に、「こんなに綺麗な髪の人がホントにいるんだ」
と、思わず本気のため息がでました。
そしてふいに思い出したのが、以前読んだある本のこと。
「女の運命は髪で変わる」というタイトルで、その内容は端的に言うと、
「キレイになりたいと思ったら、ファッションやメイクよりも、まず髪をととのえるこ
とから始めろ」
というもの。髪が決まらなければ、ファッションもメイクも映えないということで、新
人モデルはまず美容院に送り込まれるそうです。また、有名なパーソナルスタイリスト
も、まず一番最初に顧客を連れて行くのは美容院なのだとか。
そういえば、昔あったテレビ番組の素人さんを変身させるコーナーでも、まず美容院
に連れて行ってヘアスタイルを変えさせるところから始めていましたね。
確かに、髪がきれいだと美人のオーラが発揮されるもの。
そんなことをアレコレ思いながら、これほどの美髪の持ち主は絶対に美人に違いない
と、なんとかその女の子のお顔が少しでも見られないかと思ったのですが、彼女は次の
停車駅で、こちらを振り返ることもなく、前を向いたままで降りて行きました。きっ
と、毎日、何人もの男性女性を振り返らせてるに違いないと思います。
美しいものに出会うと、自分も頑張ろうと触発されはするのですが、髪の毛って生来の
クセだったり質の影響も大きいので、なかなか自分の望むヘアスタイルにできなかった
りもします。
例えば私は、基本的にはストレートなのですが襟足あたりに部分的にクセがあり、うね
りも出る髪質なので、電車の中の超絶美髪美女のようなまっすぐストレートボブという
ヘアスタイルにはできません。ストレートパーマだったり縮毛矯正をしたら、それなり
になるのかもしれないけれど、そこまでしては・・・、というのもありますし、何より
も自分だけに似合う髪型にしたい！というのが長年の、そしてこの先死ぬまでずっとの
希望。
でも、先ほどの本によると、
「大事なのは似合う髪型を探すのではなく、なりたい自分をイメージして髪型を決める
こと」だと言います。
「なりたい自分」とは、
愛されたい
恋人が欲しい
結婚したい
お金をたくさん稼ぎたい
信頼されたい
おしゃれなママになりたい
等々。
なりたいイメージでヘアスタイルを決めるだけで、自分の運命もそのイメージに近づく
ようにして動き出すのだそうです。
私の知り合いにも一人、そういう女性がいます。
少し年上のその人は、長年、法律事務所で事務のお仕事をされていましたが、あると
き学生時代からの友人に誘われて、その人と一緒に海外から雑貨を輸入する仕事をする
ことになりました。ヨーロッパや東南アジアの現地に飛んで、商品を探したり交渉した
りなどマーケティングや営業のような業務もこなさなければならず、それ以前とは全く
違う環境に飛び込んだとまどいで、最初はすごく後悔したそうです。
でもあるとき、「グズグズといつまでも事務員だった時のマインドを引きずるのはやめ
よう。変身しよう」と思い立ち、決めたら即行動！とばかりに、いきなり予約もなしに
初めての美容院に飛び込んで、「仕事ができてコミュニケーションの達人風のヘアスタ
イルにしてください」と、オーダーしたそうです。
法律事務所に勤めていた時は、事務所の地味というかお堅いイメージに合わせてこれま
た真っすぐなボブスタイルにしていましたが、初めての美容室で担当してくれた美容師
さんにすすめられたスタイルは、パーマで髪をフワフワと遊ばせたショートヘア。彼女
はそのヘアスタイルがとても気に入って、ファッションもその髪型に合うものに徐々に
変えて行き、以来それが彼女の定番スタイルとして定着しています。
そしてビジネスの方もしっかり軌道に乗っていて、今では事務の仕事をしていた頃とは
比較にならないくらいの稼ぎを得て、大成功しています。
私は弁護士事務所時代しか知らなかったので、彼女が転職して数年後に久しぶりに会っ
た時は、あまりの変りぶりに最初は当人だと判りませんでした。
ヘアスタイルが変わったのはもちろんですが、何より雰囲気が明るくなって見るからに
若返っていて、同じ人とはとうてい思えなかったです。
「人っていくつになっても変身できるんだ～」と本気で驚嘆しましたし、「髪の毛一つ
で人はこんなに変わります」という例をこんな身近に目撃したことで、この本に書かれ
ていることは真実なのだと、深く納得も同意もしています。
単純なことですが、見た目が変わると、他人からの扱われ方も変わってきます。
すると当然、「性格が変わり、運命も変わっていく」ことになるのです。
なりたい自分を思い描き、それにふさわしい髪型に変えるだけで、確実に良い方へと
人生が動いていくのなら、これほど簡単で手っ取り早い方法はありませんね。
次に美容院に行ったら、「いつもどおり」や「おまかせ」ではなくて、しっかり理想の
自分を伝えてみようと思います。
